シレン5のやった感想

シレン5のやった感想

自分がシレン5をやった感想とシレン6が出るなら作るときに修正して欲しい箇所をリストアップする。

経歴とプレイ時間

自分はアスカ見参をそこそこやっていて裏白蛇などは2桁くらいはクリアしている。 シレン3もやって、最後の持ち込みなしダンジョンの最速クリアチャレンジ的なものをやって47位くらいだったと思う。 それから、これはシレン3は良いゲームではないなと思ってシレン5+までシレンは買っていなかった。PCでしかゲームをやらなくなっていたのもある。 最近、シレン5+がsteamで発売されているのを知って、評判も良さそうだったので買って200時間くらいプレイした。 その結果、思う所などがあるのでここに記す。 これが修正されない限りシレンは買わないし、人に勧めることもない。

不満点

ゲーム性 (ローグライクゲームとしての観点)

ここでは、このシレン5+というゲームはローグライクシレンっぽいゲーム性ではない、ということを説明する。

このゲームはシレン5+という名前だが、厳密な意味でのローグライクではない。ここまでゲーム性が変わるとシレン系と言って良いのかすら疑問である。 ローグライクは、ベルリン解釈という8条件を満たす必要があるが、このゲームでは3つしか満たしていない。 3/8の要素しか満たしていませんので、ローグライクゲームというよりも別のジャンルのゲーム性となっている。 ベルリン解釈は以下の通りである。

  1. ランダムマップ生成
  2. 永久的な死亡
  3. ターン制コンバット
  4. グリッド移動
  5. 複数の攻略法が可能な複雑さ
  6. すべてのアクションがいつでも実行可能
  7. 資源管理
  8. 戦闘に勝利することを目的とする

このゲームでは、この8つの要素の内、2、5、6、7、8を満たしていない。

例えば、夜というシステムがあるが、技を持ち越すので、2を満たさない。 技はレベルと装備を合わせたような技能である。 レベルと装備は別のシステムとしてあるが、夜だと意味がなくなる(本当に意味がなくなる)ので、別ジャンルのゲーム性となっている。 そのくせ、技(装備とレベル)の更新は手間がかかります。店で買えたりとかはしない。

強い技が固定化していますので5、7を満たさない。 夜はアイテム、装備、レベルが無意味になるし、昼は技が無意味になるので6を満たさない。 最終的には戦闘に勝利というよりは逃げることに主眼をおいているようでしたので8も満たしません。 (少なくとも私はそう思いました。)

これだけ見ると、脱出ゲームのようなゲームだと思われるかもしれないが、プレイした感触も脱出ゲームのようなゲーム性である。 装備を育てて敵を倒していくというよりは逃げ切る、運が悪いと何をやっても無駄、という開発者の強い意思を感じる。 プレイアブルキャラクターであるシレン君があまり強くならず、モンスターだけが急速に強くなっていくこと、 モンスターとプレイヤーが同じ条件ではなく、モンスターがシステム面で優遇されていることがそういう感触に拍車をかけている。

モンスターは攻撃力などはともかく、能力が強くなりすぎである。自分たちはその技を使えないにもかかわらず敵がノーコストで使ってくるためで納得感がなく理不尽さしか感じない。 モンスター側だけがシステム面の優遇(オーラ、能力、罠、夜システム)を受けているので、そもそも戦う相手ではないという気すらする。

このゲームはシレン系として売るよりは、監獄から脱出するゲームとして売ったほうが良いだろう。 少なくとも世界観とゲームシステムが合っていないということはなかった。 モンスター(その世界だと看守?)だけがシステムの優遇を受けていることの説明も付く。

なお、技システムはアスカ見参ですら評判が悪く、鳥飛魔天(技ダンジョン)の動画などは裏白蛇と50倍程度のアップロード数の差となっています。 悪いシステムをいくら改善しても悪いシステムが出てくるだけである。廃止した方が良いだろう。

フリーズによる装備品損失

これもレビューサイトでめちゃくちゃ評判が悪い。 少し説明すると、冒険に出る前にセーブし、次のセーブに失敗すると冒険失敗扱いで武器盾レベルがすべてなくなる。 フリーズでも武器や盾がなくなる。 その上、武器盾がなくなる保険としてタグというシステムがあるのだが、フリーズの場合、その保険が効かない。

このゲームでは強さはレベルではなく、装備品に9割依存するので、実質的な強さは装備品が担っている。 そのため、死んだらプレイヤーはレベル1からスタートというのが問題ないわけである。 そんなゲームでフリーズで装備を失うのは致命的で、RPGで言えば終盤でレベル1になるようなもの。 セーブがセーブの意味をなしてないし、あらゆるソフトはフリーズや前の状態に戻すようにするためのものなのでセーブの意味がない。 フリーズした場合、フリーズした開発の責任になるし、フリーズ後、あえて装備品を失わせたのは開発者の責任になる。 つまり、ユーザーから見ると二重に装備を破壊しているわけである。

終盤でレベル1からスタートするなら詰むのでは?、と思った人のために記載しておく。 ここでいう、詰むとは、”強さを上げるためには敵を倒さなければならないが、敵を倒せないためシナリオを進行できない状況になり、最初からやり直す必要がある”ことを言う。 シレン5+は詰むので、予め強い武器、盾を複数個、倉庫に預ける必要がある。それをしていないと最初からやる事になる。 前作では、倉庫にすらアクセスできない状況が発生しており、シナリオを本当に最初からやり直す必要があったりしたが、今作ではシナリオを最初からやる必要はないが、 必要な手間はほぼ同じである。

更に悪いのが、開発元がフリーズを認識していたにも関わらず、一般的なセーブを実装しなかった点である。 これはゲームだから許されている(?)訳だが、MSワードや通帳でこのようなことが頻発していたらユーザーは減るだろう。当然だ。 育てた武器や盾はメーカのデータではなくユーザーのデータだからである。

なぜ、こんなユーザーのセーブデータを壊すゲームを客が喜んで買うと思うのだろうか? 一度壊れた信頼関係は二度と戻らない。この方針を取ったのが開発者の誰であろうと(中村光一であろうと)開発には参加させないほうが良いだろう。

繰り返し感が強い

非常に繰り返し感が強いし全体的に単調。 難易度を上げて単調さを誤魔化そうとしているような意思を感じるが、単調さに拍車をかけている。 難しい単調作業がやりたければドミノでも並べていれば良い。 序盤から作業感がすごい事になっている。

試しに、序盤と終盤でゲーム画面、出現アイテムなどを並べてゲームを全くやっていない友人などにどちらが終盤か訊いて欲しい。 迷うだろう。

UIが酷い

普通、UIは視認しやすいようにつくる。どのゲームも同じである。 しかし、このゲームは、見間違いをするようなアイテムを出している。 視力の悪い人はやらないほうが良い、毎回間違えるし、防ぎようがない。 百歩譲って、これをやるんだったら、フォントサイズを大きくできるとかが必要だろう。しかし、それは出来ない。 ユーザーに嫌がらせをする目的で「石」と「右」、「かなしばり」と「かなしばい」を出すのはこのゲームくらいだろう。

他にも、情報を色で表示してる。オーラ、香、夕方、色で挙動が変わる敵等など。 ただ、これらが組み合わさるととんでもなく見にくい。UI担当は何も言わなかったのだろうか? 青と紫を見分ける必要があるだが、夕方になると赤いフィルターがかかる。 柄が変わるとか手が大きくなるとか、頭が大きくなるとかやり方があるだろうが色しか変わらない。 色弱の人や視力が悪い人などはやらない方が良い。不快な思いをするだけ。 これを防ぎようが無いことが特に不快さを増大させている。

とにかく制作費圧縮のためかしらないが、色だけが違う同じ敵、UIが出すぎて本当に不快。 昔のゲームですらキノコを取ったら大きくなっていた訳であるが、このゲームでは色しか変わらない。 UIが破綻している。

アイテムの効果がわかりにくい。

アイテムの名称と名前が本当にわかりにくく伝えにくい。

感電の杖。いかずちの杖とかの方がわかりやすい。敵と隣接すると自分も感電する。 感電波。こちらは自分が感電しない。効果が違うにもかかわらず同じ名前。なぜ?

昼の盾や夜の盾に至っては、名前から効果がわからない。太陽の盾、月の盾じゃダメだったのか? 石は良いけど、右はどういう意味なんだ。投げるアイテムで石は良い。だが右を投げるとはどういう意味なんだ?純粋にわからない。

アイテムには呪い、封印状態が存在する。これですら2つも必要なのか?と思う。 加えて、たたりの壺、入れるとアイテムを呪いか封印状態にする壺である。封印の壺で良いだろうが。 しかも、封印はモンスターの状態として封印があるので、道具の封印は道具封印状態と記載しなければならない。 この時点で、あらゆる概念が交通渋滞を起こしていることがわかるだろう。 なぜ道具を使用不能にするだけで、呪い、たたり、道具封印状態(封印状態ではない)、という用語を作る必要があるのだろうか?

ノナリーの腕輪。調べた所、9を意味するノナから来ているらしい。効果は扉をくぐると爆発する。意味がわからない。 とにかく変な名前が多すぎるし直感的じゃない。直感的じゃないからすぐ忘れる。 忘れるからアイテムの説明を見るが、後述の理由で役に立たない。 不快なアイテムが多すぎてアイテムを拾うのが全く楽しくない。どうせゴミだろって感じ。

自分が一番不快だったのはかなしばいの杖というやつだった。 最初は未識別という状態で落ちていて、敵に振ったりして効果を確かめた後、自分で名前をつける必要がある。 杖は複数回使える強力なアイテムであるが、効果がわからないため最初は必ず降る必要がある。 そして、かなしばいの杖を降ると毎回変なメッセージを見させられる。純粋にかなり不快だった。

アイテムの説明が間違っていて修正される気配すらない。

図鑑の説明も説明になっていない、効果を書いていないから仕様を把握できない。 例えば、混乱の巻物、「読むと 部屋にいるモンスターを混乱状態にする。」と記載しているが、 混乱状態にならないモンスターが存在する。仕様か説明か、どちらかに合わせなければならない。 この説明は商品のレベルのソフトウェアとしてのレベルに達してない。 後出しで、「実は○○は無効化する」とか「通路では○○として扱われる」とかいう挙動をされても困るしゲームにならない。

こういうレベルで間違っているので、説明を読まなくなる。 アイテム効果の説明がこれくらい堂々と間違っているゲームはこれくらいだし、バグとして修正されるレベルである。 この間違った説明は1回だけはユーザーに対する罠として機能するが、やられた方は不快感だけが残る。 解決策としては説明を読まない、嘘情報の載っている説明よりも攻略wikiを見る。 読まない方がプレイヤーの利益になる公式要素って何?

ダメな仕様

目立ったバグはあまりないと思われるが、ダメな仕様はしょっちゅう遭遇する。 変な仕様の多さからバグ扱いされていないという懸念をどうしても払拭できない。 実はバグなのでは?という仕様は腐るほどある。

武器

今作では、武器は経験値を貯めると成長する。しかし、武器の修正値を集めることでも強くなる。 似たような機能が2つ実装されているのだが、とにかくわかりにくいからどちらか一つで良い。 そもそもの話として修正値は武器の成長を表現するために導入された機能であるから、両方は必要ないだろう。 しかも、ポイント割り振りとかじゃなくて勝手に成長する。勝手に要らない機能とかを押し付けてくる。嫌がらせか? 普通のゲームでの武器成長システムって、成長先が選べるとかじゃないのか。一本道を武器成長システムと言い張るのは流石に嘘だろう。 実態に即した名前は、武器制限システムである。しかも、武器の図鑑見るとわかるように。無個性の山。ゴミの嵐。

武器も弱いやつは弱いまま。成長しても弱いまま。存在価値がない。 強い武器も最初は弱い。ゴミがより増えたといえる。見るとがっかりする。 前作だと、「おっ強い武器出た。呪われてても良い。うれしい」となっていたが今作は、「消えろ」となる。 武器アイコンを見るだけでげんなりする。武器が出にくければ杖や札が変わりに出るからだ。 しかも、今作で強い武器はお金がないと強くない、これは初心者にはかなりのハードルで、初心者に救済アイテムが存在しないも同然。 救済アイテムが救済アイテムになってない。バランス調整の手を抜くために出している考えが透けて見える。

前作では、武器の強さの格差が大きく、その問題解決でこのようなシステムにしたのだと思われるが、より格差は広がった。 弱い武器を使うメリットが全く存在せず、武器の成長に必要な武器経験値を稼げないためである。 今作でも、弱い武器は強い武器を追い越す事はない。

タグをつけることのできる装備の数は決まっているが、今自分がどの装備に対してタグをつけているのか確認する方法がない。

魔法の効かない敵が居るのだが、なぜかラビという敵だと魔法で引き寄せられる。なぜ? ケンゴウ系では、被攻撃者が遠投状態だと武器が遠投される。どういう理由で攻撃されている側が盾を投げてるんだ。 チドロがタグを消してくるのはバグっぽい挙動だが仕様らしい。なんのためにタグというシステムを実装したんだよ。 ゲンナマゲイズという敵が居るのだが、1歩歩く度に2回混乱させてくる状況すら発生する。

全般的に、敵が強すぎて個性が無いし、敵が強くなるインフレが止まる気配が無い。 対応策も固定であるため、〇〇を持っていたらOK、持っていなければ死亡という単純すぎるゲームになる。 もう同じ、全部の敵が同じ、危険、近づいたらやばい、対応アイテムを持っていなければ死亡、本当にただそれだけである。

過去作でつまらないからリストラされた敵モンスターを復活させている。 なぜリストラされたのかを理解していない。

プレイヤー

他にも、敵がキャラクターとプレイヤーキャラの挙動が違う。 オーラは敵が攻撃力2.5倍で味方は1.5倍。仕様が同じじゃないと面倒だし理不尽さを感じる。 そんなにプレーヤーを殺したければ10倍で良いでしょ。大差ないです。 そう考えてたら夜が出てきた。何のゲームよこれ。 シレンではモンスターもプレイヤーも同じ世界に存在しているのか? 敵モンスターとプレイヤーは同じことができるからある程度の理不尽も納得感があるのだが、これはそうじゃないので理不尽だけが残る。 世界(システム)はモンスターだけを優遇している、シレンはさっさと死んだ方が良い。世界に嫌われている。

ダンジョン

10F毎の練習ダンジョンがあるのだが、支給される武器は使い捨ての剣。そんな装備を使う人は居ない。 何の練習をさせようとしているのか? 実際、使い捨ての剣と盾を装備して、10F逃げるだけのダンジョンとなっている。 50Fから90Fまで全部これ。自分は、逃げろ、50F以降はやること同じ、という開発側の意図を受け取った。

しかも、アイテムが未識別の状態で落ちている訳だが、識別しないことが正解となっている。 貴重な3枚の札の内1枚を識別するためだけに使うのはもったいないからだ。 このダンジョンの目的と実際の姿が違いすぎる。初心者のステップアップに作ったんじゃないのか。 実際は未識別の札や杖をぶっ放すだけの逃げゲーとなっている。 初心者にはかなり難しく、敵の特性を把握するどころではない。 やっと終わったという徒労感しか無い。達成感がない。 クリアできたけど、運が良かっただけだな、と思わせるゲームはじゃんけんだけで良いだろう。 これでは、時間のかかるじゃんけんでしかない。 敵に見つかったら、「お願い!」って言いながらアイテムを使うだけ。戦略性も何もない。

アイテム

マイナスアイテムが多すぎる。 マイナスアイテムは普通ハズレ扱いだろう。それが5、6割アイテムに混じっていたら、もう良いかなという感じになる。 アイテムを拾う期待値が少なくアイテムがどうでも良くなる。 いいアイテムがあるかも、となるならアイテムを拾いに行く価値があるが、実際拾うとハズレが多いので徒労感だけが残る。 なんというか、ゲーム性として以前は宝探しゲームだったのが、ゴミの山から100円探すみたいなゲーム性になっている。

例えばガチャでウルトラレアを引ける可能性があるけど大半のアイテムは、他のカードを破壊します、となるガチャは流行らないだろう。 やればやるほどアイテム期待値がマイナスになるようなガチャは絶対に設計されない。 一般的には、ハズレとしては弱いカード、小さいプラスの効果を入れるべきで、本当にマイナスの効果は入れない。 だが、このゲームは堂々とマイナスというかユーザーにダメージを与えるようなことをしてくるので本当にだめ。 まともじゃない。シレン5+では、ガチャかアイテムかという違いはあるにせよ同じことをやっている。

松明落ちすぎ。1/3くらいで良かっただろう。

夜と技

もう良いだろう。技はどうやっても面白くはならない。 アスカの頃からつまらなかったし、どうやっても面白いようにはできない。

つまらない

シナリオクリア後に楽しいことがほぼ無い。 クリア後ダンジョンの実績解除率が15%を切っているし、その低難易度版は7%程度。 クリア後のイベントもあるにはあるが、準備に手間がかかるか、難しいか、得られるものが何もないか。 ダンジョン数自体は多いが、夜がなくて、持ち込みなしで、変な仕様がなくて、難易度が高すぎなくて…と絞っていくと2個しか残らなかった。 みんな何やってんのか気になったので、クリア後イベント実績取得率を見たら7%しかやってない。 面白くなるかと思ってやってたけど、全然面白くない。 クリア後のイベントやダンジョンは8割くらいのユーザーに見切られている。

シナリオクリア率が5割程度だから、少なくとも3割の人がやってくれるようなイベント、ストレスないからやってね、というイベントがあるべきだが、 実際にあるのは、玉集め。なんで作業感満点のイベントをここに持ってくるんだよ。 作る時に気づくだろ。実績取得率が10%を切っている。当然だろう。

不満点のまとめ

こんなゲーム、他人に勧められる訳がない。 罰ゲーム的なものを欲している人には勧められるかもしれないが。一般人には無理で、かなりの上級者向き。 シリーズ経験者以外には絶対に勧められない。 理不尽さというよりも意味不明さ、不快さが他のゲームと別次元である。

そもそも、ゲームの方向性がもうめちゃくちゃ。 どういう層がターゲットなのか。ローグライクシレン系といえず、一般的なRPGといえず、変なターン制脱出ゲームにすぎない。 試しに、こういう系のゲームをやったことの無い人に、これを渡してみて欲しい。シナリオクリアせずにやらなくなるだろう。 シナリオをクリアしても、数回99Fダンジョンに挑戦した後、クリアできる用、プレイする用として作っていないと評価するだろう。 そして、その評価は正しい。ほとんどの人にクリアできると想定されて作られていない。そのため、自分用ではないと思うし、2度と買わない。

過去作をクリアした人でも、ほぼ同じ。 50F以降は同じことの繰り返し、クリアできるかどうかは50Fにすでにわかっているのだから、50F以降は時間の無駄。 全部の敵が危険なのだが、敵が強すぎ、危険すぎて個性がなくなっている。 そのため、深層で復活の草を落とす敵を出すって本末転倒だし、それやるくらいなら残機性システムの方が良い。 最初は10回死んだ、次は5回でできた、みたいな感じで、成長がわかりやすい。

自由度がシレン2やアスカと比較すると下がっている=誰がやっても同じ結論になり、みんな同じことをする。 みんな同じ事をする=自分も同じ事をする=作業感が出る。 強いアイテムの廃止、強い敵の出現。回避策は同じ。

嘘だと思うなら、シレン5の動画を見れば良い。50F以降はいつ見ても、誰の動画を見てもほぼ同じ。 結局は逃げるゲームになる。早いか遅いかの違いでしかない。 更に恐ろしいことに、ほぼすべてのダンジョンで同じ。装備も同じ。どのダンジョンも実質同じ。 そういう意味で、このソフトには感謝したい。自由な時間が増えたから。

良かった点

良かったことはsteamで買えたこと、ライブ探索表示が追加されたことだけ。 それですら、chunソフトは後発で、ライブ探索表示はアスカで実現出来ていることだった。

このシレンシリーズは事実上終わっていて既に別のゲームになっている。 客観的に見れば見るほど、そうなってしまっていることを認識してしまった。 好きな人は良いだろうが、名前が同じだけの別のゲームだから悲しいかった。

今後に向けて

今後に向けてどういう方向性にすれば良かったのか、いちユーザーである私がどのようなものを求めてるかを記す。 これは、もし自分がこのプロジェクトに参加するのなら、どういう方向性にしていたのかを記録として記したものである。

ゲーム性の現状(一般的なゲームとして)

面白いゲームを作るのは実際にはかなり難しいが、それでも満たすべき条件は多く、どのようなゲームでもその条件の解答を用意しておかねばならない。 この評価軸で、一般的な条件を確認しシレン5+というゲームがゲームデザインとしてかなり酷いゲーム性であるということを確認していく。 なお、自分はこの分野の専門家ではないがwebでちょろっと調べた面白いゲームの条件とこのゲームが合致していない場合、それは大多数の人にとって面白く無いということになる。 以下の6つの観点で評価する。フローの理論)から抜粋している。

  1. 明確な目標
  2. 直感的な即座の反応
  3. 能力と難易度のバランス
  4. プレーヤーが状況を制御している感覚
  5. ゲーム体験に本質的な価値がある
  6. クリアできる可能性が存在すると信ずる

1. 明確な目標

まず、1を再考しなければならない。 敵を倒して階段を登るゲームなのか、敵から逃げて階段を登るゲームなのか、どちらかを選んだ方が良い。

シレン5+ではどちらかというと敵から逃げるゲームであった。 なぜなら、倒せない敵、倒すことを想定されていない敵が出現していたためである。

逃げるゲームを志向しているのなら、まずユーザーが覚えなければならないのは隠れるとかやり過ごすといった事になる。 そのため、序盤に武器や盾など敵を倒すアイテムを渡していてはだめで、10F以降でないと敵を倒せないなどとした方が良いだろう。

現在のシレンシリーズは明確な目標を設定できていたように思うが、シレン3以降は敵を倒す事を重視していない。 この辺りの方向性はきっちりと再考し、それと合致するゲームを作ったほうが良いだろう。

2. 直感的な即座の反応

2はほぼダメで、即座の反応はともかく直感的ではない。そもそも取れる行動の種類が多いし、敵の種類に関する仕様が多すぎる。

例えばダメージを与えるにしても、武器で攻撃する、飛び道具で攻撃する、杖、巻物、技、罠など影響を与える要素がめちゃくちゃ多い上、 敵の種類、レベル、防御力、オーラ、状態などによって変わるので、直感にめちゃくちゃ反する。 攻撃するとダメージを反射して無傷の敵や、ダメージを1に変換する敵などが居る。どうやってユーザーに倒せることを知ってほしいのだろうか? そもそも倒すべき敵として設定されているのだろうか?ゲーム内だけでは知りようがない。 それに加えて、逃げる事が想定されている敵が存在する事が混乱を助長する。

また、3とも関連するが、シレン5+のプレイアブルキャラ(シレン自身)があまり強くならず、レベルを上げてもあまり強くならない。 この時点でゲーム内での経験値の意味がかなり薄くなってしまって、ゲームデザイン的にはかなり悪い。

経験値システムはかなり良いシステムである。 敵を倒す事で経験値を得られる事が明確で、次のレベルに必要な経験値も知ることができ、しきい値を超えればすぐにレベルが上がる。直感と即座の反応に沿ったシステムである。 シレン5+では経験値システムを無意味にしているので、その代替となる直感的で即座に反応する成長システムがなければならない。

実際のシレン5+を見てみると、強さを上げる方法として主軸になるのが武器と盾を強くすること(武器の成長値稼ぎ)であるが、方法が異次元の意味不明さである。

まず、最初の武器、盾は修正値に上限が設定されているため武器の成長値を稼がねばならないが、そのため、まずスーパー状態を経由し成長状態にならなければならない。 この、スーパー状態などを制御する覚醒ポイント(便宜上の呼称)をユーザーが見ることができない。強さを上げる方法のパラメータであるにも関わらずである。 また、成長状態の前提となっているスーパー状態を維持するためには、状態異常になってはいけないし、罠を踏んでもいけない、満腹度がしきい値以下になってもいけない、ターン経過をしてもいけない。 これらは、かなりきつい制限であると共に、レベルを高めに維持してゆっくり攻略するようなプレイスタイルでは出来ないようになっている。初心者お断りのゲーム性となっている。 また、成長状態を維持するプレイをすると、かなり平坦で作業感のあるプレイとなる。 上記のような状態異常になったらダメ、罠を踏むのもダメ、というのはシレンのゲーム性の部分であるため、それをやるとダメというのは非常に作業感が大きい。 しかも、成長状態で得られる経験値は通常状態の4倍である。この倍率は馬鹿すぎる。 普通は5割増しで、やっても良いしやらなくとも良い、みたいな立ち位置が理想的であるが、4倍ともなるとやった場合とやらない場合での差が非常に大きくなる。

結果として、事実上、必須になる。 また、通常状態で武器の成長値稼ぎを無意味化しており、敵と戦う意味がなくなっている。

こんな仕様を一般プレーヤーは知る訳がない。 しかも、知った後は「よしやろう」とはならない、「はいはい、それが最適解ね。それ以外の動きできないね。俺には罠チェックは無理だわ。」となる。 出来ているユーザーはどう見られるのか?「すごい」とはならない。「なんでそんな糞ゲーやってんの?暇か?もっと良い時間の使い方あるだろ」となる。

仮に、経験値システム廃止して、戦闘中○ボタンを押した回数でレベルアップします、経験値に意味がありません、なんてゲームが面白くなると思うか? シレン5+の状況はこれと大差ない。

経験値システムの代わりのシステムがどういう経緯でこのシステムになったのか真剣に知りたい。 明らかに、会議の仕方か意思決定の仕方に問題があると思われる。

3. 能力と難易度のバランス

3もダメだろう。主人公が弱すぎる。 通常のRPGでは、レベルが上がると能力が強くなり、強い敵を倒すというデザインになっている。 同じ敵の強さは変わらないから強さの向上を実感できるし"難しければレベルを上げろ"はわかりやすい難易度調整として機能する。 仮に、プレイしているキャラクターと同時に敵が強くなっては非常にまずい。 難易度調整ができず、ユーザー自身が絶対にクリアできないことを理解するから二度とやらない。 ユーザーはゲームシステムに関して詳しくないかもしれないが馬鹿ではない。

プレイアブルキャラクターのシレンは、死にやすい。 即死の罠やアイテムが使えない状態、プレーヤーが操作できず敵に操作される状態などがあり、かなり死にやすい。

そして、死ぬペナルティがダンジョンの最初からやり直しなのが辛い。難易度の調整システムが何もないため、難易度を下げる事がやりにくい。

死んだ反省として、より強いの装備品で…、となるが、アイテムがランダムであるため難易度が下がらない。 一番評価の高いクリア後ダンジョンでクリア率が15%程度、つまり85%の人がやっていない訳である。マスを狙うゲームのデザインとしては不適当だろう。

もちろんゲームはどう作っても開発者の自由であるから、人類にはクリアできないようなゲームを作っても良いが、売れないだろう。 同様に、マスに売るためには難易度に関する自由度が無いと売れない。

4, 5, 6

4もダメだろう。敵が強すぎるし、動きが謎すぎる。 どちらかというと、敵が強すぎるから逃げるゲーム性だ。

5もダメだろう。アイテムの取捨選択が面白いなら別のゲームをやったほうが良い。初代シレンとかシレン64とかアスカとか。 特に、面白いゲームデザインでも、チャレンジしているゲーム性でもない。

6もダメだろう。85%の人は一番評価の高いクリア後ダンジョンをやってない。 ユーザーは確実に’クリアできない’ということを学習していることが見て取れる。

ゲーム性の改善案

上記のような、誰がどう開発してもつまらないゲームになる要素を面白くはないかもしれないが普通のゲームの仕様にするにはどのような対策があるのかを考える。 これは、少なくともシレン5+の仕様よりも面白いと思われる。

直感的な即座の反応

まず、'2. 直感的な即座の反応'を改善していく。具体的には以下のような方策はどうだろうか?

1 アイテムの種類数を1/3程度にする。少なくとも半分程度存在するマイナスアイテムは全部削除した方が良い。 そして、効果も単純なものにし、仕様が2行程度で伝わるもの限定にする。 混乱の巻物で、「敵を混乱状態にする」と書くなら、混乱しない敵を出現させてはだめある。ユーザーや開発者に混乱を招く。 投擲武器、巻物、杖、草などは一本化しても良いだろう。特に、草と巻物は使うとアイテムが消滅するという特徴が同じで、実質同じである。

アイテムの種類数が多くなる事は弊害がかなり大きいという現実があるので、役に立つ、個性のあるもののみをデザインすることが重要である。 例えば、アイテムの種類が現在の数十種類から数万種類になった事を考えてほしい。単なる糞ゲーである。 一方で、0でもゲームとして成立しないので、多くて数十種類であれば良いだろう。 特に、このゲームでは値段でアイテムを識別する必要があるが、単に面倒でゲームの面白さに寄与しないため別の方策を考えた方が良いかもしれない。 値段を覚える事に面白さを見出すユーザーなんて存在しないだろう。

2 技システム、夜システムを廃止。特技が存在するなら、どのダンジョンでも常に使えたほうが良いだろう。

例えば、アスカで攻略した場合、体力が成長しやすいとか、シレンの場合は、お腹が減りにくいとか、そういった小さなもので良いのではないだろうか。 これは難易度を調整や攻略の方向性をユーザーが選べるということも意味し、他のゲームでも一般的である。

一般的にはこのようなキャラクターを増やす目的は、このプレイスタイルが好きとか、カッコいいとか、ユーザーとゲームのマッチング成功率を上げる工夫として採用されている。

一応、トルネコ3やシレン3などでも実装はされていたが、一般的な用途ではなかった。 ゲーム性をかなり変えるような仕組みとして使用していたが、かなり手抜きな印象で難易度調整がほとんどなされていないような印象を受け悪印象だった。 最初からキャラクターを選んでシナリオを進めていけるというようなものでもなかった。

3 仲間システムもなくて良い。

このようなものは人を選ぶ。実際、仲間キャラクターが自動で動くのはリアルタイムストラテジーに多く、自分が指示するものはターン制ストラテジーが多い。 別にリアルタイムストラテジーで仲間キャラに指示をするゲームが存在しても良いと思われるが、ジャンルが分かれている事からわかるように両者はかなり違うゲーム性になり人を選ぶ。

ユーザーに変化を与えるとかお得感を演出するという目的のためにゲーム性の違うものをゲームに入れる事がある。 アクションゲームにシューティングゲームのステージを入れる時があるが、それらは意図的にかなり難易度を落す。 クリアできないユーザーが出ないような配慮が必要であり、過去の偉大な作品はそれらを遵守していることを確認して欲しい。

仲間システムが存在する場合でも、わかりやすく、選択できるようにする必要があるが、そうすると一部のユーザーしかやらないだろう。

シレンの過去作を見ると大しておもしろくならなかったし、おもしろくなるような仕様に変更する事は自分には無理そうだった。 基本的に連れて行ってもすぐに死亡し、敵がレベルアップするだけだった。 自分の身すら守れないのに勝手に冒険についてきて周囲に迷惑をかける迷惑な人たちという印象でしかない。 そのため、ユーザー側も仲間は殺して敵をレベルアップするという目的になってしまっており、仲間というよりも敵に与える餌のような感じになっていた。

4 戦闘システムのオーラ、夜、成長状態などは、直感的でないからなくて良い。

これらのシステムを簡潔にユーザーに伝えて「それ面白そう」となれるかどうか、無理だろう。 成長状態は、無敵状態のような名称から効果がある程度予測できて、ユーザーに浸透しやすく、名前負けしない効果であれば良いだろう。 マリオでの無敵状態は文字通り無敵だからクッパを一撃、的な印象的な効果が必要で、それ以外はハズレ効果になってしまうから出さない方が良い。 ハズレ効果など誰も欲しくはないだろう。

状態システムは、ゲーム的に実装しやすいが、ユーザーが理解するのが大変なので売れているゲームでは数えるほどしか出てきていない事を確認して欲しい。

5 ダンジョントータルのバランスも、いまいちである。

99Fである必要はない。山場の後で終わった方が良い。ここらへんは難しいが、シレン5+では50Fくらいに山場があるので60Fくらいで良いだろう。 最後の印象が全体的な印象につながるため最後に抱いた印象がつまらないというのはデザイン的には全くダメで、途中にストレスがあるがそれをクリアした後は気持ちよく余韻に浸らせた方が良い。

ストレスの与え方も、しきい値のようにユーザーにハードルとして認識させたほうが良い。RPGでボスモンスターが強い雑魚モンスターではないのにはこのような理由がある。 これはアスカの裏白蛇の手法で、アスカの裏白蛇では74Fから90Fくらいは中だるみしていてつまらないが、94Fから99Fまでは山場として設定されている。 山場の判断も難しいが、ユーザーがあれこれ選択したり行動したりした時である。 例えば、シレン5+であれば、シレンの強化が終わった50Fであろう。

全体的であるが変化は明確に起こった方が良い。徐々に変化するのは変化が認識しづらいので、山場として認識されないからである。 例えば、レベルシステムでも徐々に強くするシステムよりも10を超えると一気に強くなるようなデザインが多いのは変化をユーザーに与え退屈しないようにするためである。 シレンで言うと、レベル30で攻撃力が1.3倍にするとか、力12から攻撃力が1.2倍になるとか、ともかくしきい値を設定して何らかの行動の結果を飛躍させたほうが良い。

RPGやアクションゲームでこのような難易度の作り方をしているのは、難易度調整のしやすさのためでもある。 強化後は成長が穏やかにするのが普通なので、強さが統一され難易度の調整がやりやすくなる。

能力と難易度のバランス

次に、'3. 能力と難易度のバランス'を改善していこう。 ここは、ターゲットの層をどのようなものとしてデザインするかで変わってくるが、カジュアル層を取り込まない限りシリーズが先細りするのは当然である。 そのため、一部のマニア向けよりは、メインの層としてもうちょっと難易度を下げた方が良いだろう。

過去、シレン3、4など難易度を上げたり、不快な敵を出現させたりしたが売上に対するポジティブな影響はなくネガティブな影響のみが存在した。 また、同様のシリーズとしてトルネコシリーズも難易度の向上と共に売上を落としていった。 難易度を上げるだけで売上が増えるなら苦労はないが、実際は逆であり、難易度が高くなればなるほど市場が小さくなる。

今のゲーム性(死んで覚える)だと残機性を採用するとか、倒された方に応じてレベルを自動的に上げ死ににくくするとか、死んだ難易度に応じて能力を強化するなりのバランス改善策があった方が良いだろう。 死ぬ10ターン前に戻るとかも良いかもしれない。 そもそも、昨今の死にゲーであってもリトライは気軽に出来る上に、むしろ強烈な達成感の方に重点が置かれており、実際はそこまで難易度は高くない。

一方、シレンシリーズの場合、難易度はいくらでも上げられる。あるユーザーが初クリアまで年単位の時間がかかるのは珍しくない。 それどころか初クリアが確認されたのがゲーム発売後3年というダンジョンすら存在する。 ただ将来的な売上を見込むようなゲーム、今後シリーズ作が出るようなゲームの礎がこれは少し危うい。

シナリオは2-10時間程度でクリアできるものの、そこからクリア後ダンジョンの難易度以前にゲーム性が違い過ぎて同じゲームをやっていない。

そもそも、RPGでもレベルはかなりデザインし、ゲームオーバーをどの程度発生させるのかを調査し、どこにセーブポイントを設置するかなどをデザインする。 一方、このゲームはセーブポイントをデザイン出来ないせいで、難易度デザインがかなり難しい。通常プレイしているターゲット層を明確にし、その層に合わせている事が必要だろう。

ダンジョンでの死亡回数などが出るので参考にしてクリアできると見込めるユーザーの割合がユーザーの5割を下回らないようにした方が良い。 ユーザーの上位3割をターゲットにするなどを行うと、残りの7割が不満を表明した時に数で負けるため避けた方が良いだろう。

上位1割をターゲットにすると熱狂的なプレーヤーが出る一方で、一般に価値を認められる事はない。変わった人だね、くらいのものである。 そうなるとシリーズにとって良い影響を与えない。変わった人がやるゲーム=普通の人がやらないゲームという認識が生まれるからである。

前提として理不尽な要素を追加する場合、敵も味方も平等に扱う必要がある。 例えば、桃鉄キングボンビーは一人用ゲームの場合、理不尽にプレーヤーが耐えられないため許容されない。自分も使えるという前提があってこそ理不尽が許容されている。 翻って、シレン5+はどうかというと、主人公と敵でシステムが平等に適用されないため、ユーザーに不快感を与える。

例えば、攻撃力が2倍になるような状況があった場合、プレイヤーであろうと敵モンスターであろうと、攻撃力が2倍にならなければならない。 それを遵守できないのなら難易度設定が変で、その中でバランスを取らなければならない。 理由は、敵の能力は際限なくインフレしていくことが可能であるが、プレーヤーの能力はインフレさせるのが難しいためである。

敵の能力は抑えめにしておく必要がある。 うっかり2匹と遭遇した場合、プレーヤーのリソース消費量は2倍となる。 リソース消費量の振れ幅がかなり大きくなるので、難易度の調整が不可能になる。 ボスモンスターが1匹いる場合と2匹いる場合がランダムで決まるRPGなど存在しないだろう。 そのため、敵の能力の天井は低めに設定することが重要であるし、強いザコ敵は居ても良いが、強敵枠のようなものは無い方が良い。 強敵枠を設けるなら強敵枠とわかるようにしなければならない。

少し程度のズルはあったほうが良い。メタルスライム的な存在がシレン5+でなくなっているのがめちゃくちゃ大きい。 トド狩りなどはあったほうが良い。それというのも、学習が進む時、人が強烈に引き付けられる時というのは期待通りに事が進んだときではなく、予想が外れた時だからである。 だから、ゲームの細かな所を忘れてもメタルスライムという名前は覚えているし、そのような敵をシリーズ通して共通して配置している訳である。 ところが、シレン5+はそのようなものがないせいで、何も印象に残らない。ゲームの前半で段階でそのような敵を配置した方が良い。

アスカでは白蛇島5Fとかで必ずアイテムを落とす敵が出現している。これは非常に良いし、ゲーム前半でオニギライズと呼ばれるテクニックを実行出来るのも良い。 これらは、知っていたらかなり得するというテクニックなのだが、"ゲーム序盤で"、"敵を利用し"、"一方的にプレイヤーが得をする"という、かなり良い工夫だった。

一方、シレン5+では、そのようなテクニックは大して強くもなく印象も残らなかった、70Fくらいの後半に出てくる、ある敵は固定アイテムを落とすという工夫はあるにはあるが、意味が全く異なる。 強い敵が強いアイテムを落とすというのは当然である。 終盤の敵が大量の経験値を持っているのは普通であり、良いアイテムを落としてもお得感はない。そのため印象に残らない。

いずれにせよ、能力と難易度のバランスは開発者の腕の見せ所であるため、分かっている人に頼む方が良い。 その時、上のような基本的な事柄を知っているか、新しいメタルスライムをあなたならどうデザインするか?などと聞くと良いだろう。 ここで、強くするとかゲーム後半に出すなどの解答だと全くデザインを理解していない事がわかるだろう。採用しないほうが良い。

プレーヤーが状況を制御している感覚

面白いというゲームは自由度が高いというよりも、実質的に選べる選択肢が多い、自分の好きにできる、ということである。 単に選択肢が多いという訳ではない。与えられた選択肢が多くとも、実質的に選択肢が選べなければ意味がない。

一般的には、アクションゲームなどではクリアするステージを選べるとか、ステージ上のルートを選べるなどがある。 成長先を選べるとか、成長するパラメータを選べるなどもある。

シレン5+での改善案としては、もう少し自由度があったほうが良い。

あらゆる面で過去作よりも自由度が下がっていた場合、ユーザーはそれを受け入れない。今更、スマホなしで生活してくれと言われても困るだろう。 下がった自由度としては、少し列挙するだけで以下のようになる。

  1. アイテム(大量のマイナスアイテム)
  2. 装備(武器防具の弱体化、別の装備品に勝手に変化する。)
  3. アイテム欄(壺の容量の低下。そもそも壺はアイテム欄拡充の目的でゲームに追加されていたにも関わらずである。)
  4. 行動(敵の強化)
  5. ダンジョン(夜システムの導入)
  6. 敵の勧誘(仲間にするアイテムのランダム破壊)
  7. クリア必須アイテムの導入(実質的に無いとクリアできない)

上を見てわかると思うが、他のゲームと比較しても、シリーズ過去作と比較しても、どんどん自由度が下がっているのがわかるだろう。 例えば、夜システムやアイテムなどは「存在しないダンジョンやれば?」と思うかもしれないが、それを行うと20個のダンジョンの内3個しか残らない。 実質的に、ダンジョン数をかなり減らし、実質的には自由度を減らしている事になっている。

なぜこのような面を重視しなければならないかというと、最新作の一番の競合が過去作だからである。 新しいからといって機能制限版は買わないだろう。

これに対する改善策としては、まず開発者の態度自体を改める必要があるだろう。 誰も前作からの比較をしていない。前作の評判などを見ず、実装できる機能だけを実装した臭いを感じる。 また、他のゲームを開発者目線で厳しく見ていない、他のゲームをやっていない、印象を受ける。 他のゲームと比較して圧倒的にデザインが変で不勉強な感じを受ける。

正直な所、シレンシリーズなんてポジティブなフィードバックなんて数えるほどしか受けてないので、その方向性を伸ばした方が良い。 シレン64の異種合成は評判が良かったから、その方向の案を考える。

シレン5+の武器成長システムとはどういうものかというと拾った状態では武器は弱く、攻撃して敵を倒す事で成長していくというものだ。 ただ、成長は一本道だから実質的には武器の弱体化になっている。多くの場合、使う武器は1つだからである。

このシステムを実装するなら成長先を選べるシステムの方が良いだろう。 プレーヤーにとって自由度が増すし、開発者にとっては難易度調整のシステムが増える事になる。 このシステムが多くのゲームに実装されているのは一石二鳥、一石三鳥を狙えるためである。 逆に言うと、このシステムを採用していない場合、メリットを補う何らかの工夫が必要である。

いっその事、武器や盾を廃止してアイテムを装備できるようにしても良いだろう。 実際にそのようなゲームは存在し、人気もある。 そのゲームではディスクと呼ばれるアイテムが、装備と巻物を兼ねており、ディスクを装備することで武器となり、ディスクを使用することで魔法を使うことが出来る。

もう敵の勧誘も廃止すれば良いのではないかと思う。 シレン5+の仲間システムは特定の状態の敵を攻撃すると仲間を示すアイテムがもらえる。

このシステムの変な所は、ダンジョンを進んでいくとランダムで他のアイテムに変化する所である。 ユーザーのアイテムをランダムで破壊するゲームはほぼ無いのではないかと思う。 通常、回数制限とか時間制限とかアイテムを狙うモンスターを出現させるなどをするが、このゲームの場合、驚く事に ランダム破壊 なのである。 これはすごい。こんなん見たことない。勝手にユーザーの所持アイテムを変化させてバグじゃないのはどういうゲームなのか意味がわからない。

敵の勧誘で印象に残っているシステムとしてはトルネコ3が思い浮かぶが、あれは実際は評価が悪い。 大多数の人はプレイしていないから、マニアしかやらず評価が高く見られるというだけの話である。 紹介のされ方も良くはない。面白いとか楽しいとかよりも、難易度、時間、理不尽とセットで紹介されている。 こうなると次回作は売れない。 トルネコ4が発売されるとして、どうプロモーションするのだろうか?

ゲーム体験に本質的に価値がある

この手のゲームは毎回違うアイテムで、どうリソースをやりくりして目的を達成するのかがゲーム性だろう。 ただ、このゲームの場合、リソース以外の要素が強すぎるので運ゲーになっている。あまりゲーム体験の本質的な価値はないかもしれない。 リソースのやりくりをしたいならRTSとかあるわけだし、1プレイが短く、対人要素あり、協力プレイあり、みたいなものもある。 ランダム要素ではローグライトとかもあるし、リソースのやりくりという意味では囲碁、チェス、将棋とかの方がより深みがある。

普通、トルネコがヒットしたら類似のゲームがそこそこ売れるということになるが、シレントルネコではそれは起こっていない。 あまり本質的な価値が無いのではないかと思う。

クリアできる可能性が存在すると信ずる

シレン5+では、安全柵が何もないので、死んだら10ターン前に戻るなどとにかく難易度を調整できるような仕組みがないとダメだろう。 通常のRPGならレベル上げ可能という点が可能性や難易度調整システムになっているのだが、このゲームは無い。

死亡時、何らかのペナルティを払って、その場で復活するようなゲームシステムにする、 残機性にし、残機10の状態でゲームを始められる、 アスカを選べば、腕力99でゲームを始められる、 あるキャラを選べば、レベルと盾が連動して強くなる、みたいな感じで良いのではないだろうか。

ローグライクのゲームとの比較

そもそもの話をすると、シレンの元となったローグの時点でフローの理論から逸脱しており、あまり良いゲームではなかった。 よく言ってマニア向け。

そこから、不快な要素を削除、変更したジャンルとしてローグライトが存在する。 ローグライクとローグライトを比較することで、何をどう変えたか、不快な要素、重要な要素は何だったのかを検証していく。 とは言え、ローグライトの場合は定義がある訳ではないから比較は難しいが、以前に流行ったVS (Vampire Survivors)と比較してみよう。

1 ランダムマップ生成 (△)

VSでは、マップは固定であるが装備、アイテムと敵がランダムである。 レベルアップ時に装備が支給され3択でどれか一つを選ばせる形式となっている。

2 永久的な死亡 (△)

VSでは、キャラクター自体は死亡すると冒険がなかった事になるが、お金がもらえたり、強化要素がアンロックされたりして、強いキャラクターを選べたり、強いバフを乗せたりできる。 仲間だけでなく、敵の体力などの強化もでき難易度を上げる事もできる。 実質的に、お金をつかって強化要素を使うので経験値的な要素となっている。

3 ターン制コンバット (☓) 4 グリッド移動 (☓) 5 複数の攻略法が可能な複雑さ (○) 6 すべてのアクションがいつでも実行可能 (○)

すべてのアクションといっても、動くだけである。 そのため、どのキャラで初めても同じ事ができる。

7 資源管理 (○)

まず、強化要素がお金と交換になっているため、そこで資源管理が行われる。 次に、プレイ中の装備やサポート要素がランダムで、レベルが上限にならないと進化できず、 進化には宝箱が必要で、そこもランダムになるのでかなりゲーム性がある。 これだったらどうだろう、などが色々と工夫しがいがあるということ。

8 戦闘に勝利することを目的とする (○)

最後に敵のラッシュが来るので、敵を倒す事に比重が置かれている。

修正すべき要素

こうして見ると、永久的な死亡は不快な要素であり、何らかの修正があったほうが良いだろう。 ユーザーにいきなり難易度高い事をさせても出来ないため、難易度を上げるにしても、モチベを保つような工夫が必要だろう。

VSは、死亡回数に応じた強化要素のアンロックという答えを出した。

シレン5+の永久的な死亡の修正案はVSと比較すると、かなりお粗末であることがわかるだろう。 VSでは、恒久的に、手軽に、ユーザーが選択可能で、試行錯誤出来る。 シレン5+では死亡に応じた強化要素なし、恒久的な強化なし、手軽さなし、ユーザーが選択可能なシステムなし。 シレン5+のタグ付き装備は、そもそもタグを消してくる敵が居るし、フリーズなどに対応できないので消滅する可能性がある。

重視すべき要素

複数の攻略が可能であり、全てのアクションが実行可能で資源管理し、戦闘に勝利するという事が重要であることがわかるだろう。

シレン5+の逃げゲー要素は減点だろう。 大体、見た目が地味で画面映えしない。 ターン制だし、階段を探して下りるのは1Fでもやっている訳だし、攻撃の熾烈さを画面で表現できず、ただ敵が高い攻撃力で殴ってくるとか論外である。

あまり逃げゲーがシレン5+に合ってないと思うのは、起きている敵が多いし、部屋の出入りで敵が起きてしまう。 しかも、シレン5+のダンジョンの深層では階段が複数表示される、そのうちの1つしか本物ではない、という仕様になっている。 つまり、逃げゲーの目的たる階段を探す妨害が存在するわけである。逃げゲー、避けゲーに透明の敵は出て来ない。 ゲーム性の否定になり、単に地雷原を歩くだけのゲームになる。 現状のシレン5+を逃げゲーとして見た場合はそれに近く、階段近くに行ってダッシュして確認し、罠であれば別の階段を探すというテンポが最悪な事に加え、動画を見た人に意味が通じない事になっている。 逃げゲーはアドレナリンを出させる感じのゲームにしないといけないので、じわじわと強い敵が来るので速く逃げるというゲームにしないといけない。 なぜなら、突然自分のキャラが死亡するとアドレナリンが出る時間が無いため、つまらないためである。

逃げるゲームでは、プレイヤーは10ターンで階段を下りるが、敵はそれを防ぐために苛烈な攻撃を加えてくる、や、 強い敵の横をひっそりとすり抜けていく、といったようなゲーム性でないとつまらないが、上記の仕様があるのでシレン5+では実現できないだろう。

それができないのならば、順当に戦闘に勝利するようなゲームにした方が良いだろう。

まとめ

長々と書いたが、シレン5+はまともなゲームとして作られていないし、敢えて良いゲームデザインの逆に行っている事がわかるだろう。 流行っているゲームに学ぶこともせず、評価の高い前作を分析することもせず、ゲームを面白くすることもせず、ただ単に難易度と不快感を上昇させただけである。 皮肉な事に、シレンを作っている会社がリソース管理をまともにできていない事は、このゲームのゲーム性が大したものではないことを物語っている。

こんなゲームデザイナーと開発者では、どんなゲームを作っても必ず糞ゲーになるだろう。 もう一度、基本に立ち返ってゲームデザインの本などを読むか、人気作に学ぶなどを行い、真面目にゲームを開発して欲しい。