奇妙な研究 (電子たばこの煙は、マウスの肺腺癌と膀胱尿路上皮過形成を誘発します。)

Moon-Shong Tang, et al., "Electronic-cigarette smoke induces lung adenocarcinoma and bladder urothelial hyperplasia in mice." PNAS, doi/10.1073/pnas.1911321116, 2019

自分が気になったのは、ニコチン36 mg/ml という高いニコチン濃度でのテストです。
これは、ヒト等価容量でざっぱに見積もると 180 mg/ml というとんでもない濃度です。
一般に使用されるのは 6mg/ml です。
これらのマウスは、たった一瞬の休息もなく(人間換算で40年)、毎日タバコ12箱のニコチンに相当するニコチンにさらされていました。
それを人生(鼠生?)のほとんどでそんな環境で過ごすのに発がん率は22%しか上がらず。
人間ではニコチンそれ自体はガンを引き起こさない、成長させるだけ。
ニコチンよりもタバコ特異ニトロソアミンがガンを引き起こす可能性が高いことがわかっている。
vapeではタバコ特異的ニトロソアミンの量が紙のタバコの1/1000程度なのがわかっているからこの結果は当然のように思う。

空気よりもニコチンなし蒸気の方が健康に害がなかった。 これ、電子タバコ吸ってたほうが健康になるんじゃね? 蒸気だけでも有害とか言ってた人はどういう反応なんだろうか?
当然、統計誤差ですが、研究が有効だと主張する人はこの事実をどう考えるのでしょうか?

タイトルが釣りです。ニコチンなしで害なしという結果だったのにタイトルが電子タバコになっています。

より詳しい情報が欲しい方は2019年にレビューが出ています。 電子タバコのエアロゾル放出が呼吸器の健康に及ぼす影響:レビュー を見てください。

Vapeに含まれるPM2.5はどの程度有害か?

有害であるとの主張がされることがありますが、明確な間違いです。 Vapeに関してはエアロゾルの主成分が水に溶け、害もない事がはっきりしている成分(プロピレングリコールグリセリン)ですから問題ありません。 問題ない量ですし、代謝されますし大丈夫でしょう。
稀にアレルギーを持つ方が居ますので、そこだけ注意してください。 一方、タバコはタールが含まれますのでかなり危険です。

そもそも、PM2.5はどのようなものかというと、wikipediaや、環境庁文書を読んで欲しいのですが、まとめます。

粒子径、2.5 μm 程度の物質です。この小さな直径になると軽いため空気中の滞留時間が長くなる上、肺の奥深くに入りやすいです。
水蒸気と異なり蒸発しないような物質の場合、残り続けます。
この粒子が固体であるとか水に溶けないなどという性質を持っていた場合は肺に残り続ける、代謝されない、毛細血管にダメージを与えるなどの理由で危険です。
例えば、排ガス中のスス(カーボン)、中華料理店のキッチン(油)、花粉、海塩粒子(塩)、工場の排煙(SOXのミスト)などです。
タバコのエアロゾルはタール(油)が成分ですから中華料理店のキッチン(油)と同様に危険です。

ここからわかるのは、PM2.5そのものの危険性というよりは、どのような成分のPM2.5なのかということです。 実際、スモークマシンの一部はスモークを出すリキッドに鉱物油を使用していましたが、健康被害を出したために水とグリセリンに切り替えています。
また、PM2.5自体は幅広く社会で利用されており、例えば肺に到達しやすいといった特徴を利用し喘息治療用のネブライザーや吸入器に使われています。

link link

そのため、PM2.5自体が危険であるという主張はほぼ意味がなく、WHOもそのような主張はしていません。 主に大気汚染の成分としてのPM2.5に関しての主張をしているだけです。

何より、PM2.5自体が無制限に危険であるなら、

  • 喘息の吸入器でも副流煙と同様に体に悪いということになりますから公共の場所で喘息の吸入器の使用ができなくなります。
  • 喘息の患者さんは小中学校に通えなくなってしまいます。吸入器を使用できなくなるため。

まず、研究が必要です。 特にPM2.5の成分の違いでどのような健康被害が出るのかを調べる必要があります。

なお、ニコチンを含まない場合の電子タバコエアロゾルに関してはこれを参照してください。 これによれば、肺の炎症に関しては影響が一切ないレベルでした。 ただ、この論文には以下の指摘があり、 何もしないグループの方が炎症の反応が高いという不可解なデータがあります。

vapeはどの程度有害か?

vapeはどの程度有害か?

ニコチンを含まない場合、少ないが影響はあるが日常生活と比較すると無害
ニコチンを含む場合、妊婦さんか授乳中のお母さんは使用しないでください。
ニコチンには催奇性があります。子供の脳の発達に有害です。母乳を通じてニコチンが子供に害を与えます。
細かい事を言うと、プロピレングリコールや植物性グリセリンにアレルギーを持つ人がたまに居たり、肺に疾患のある人が使用すると症状の悪化をします。 そのような場合は使用を中止してください。
また、目や気道などの粘膜の刺激、頭痛、めまい、眠気、疲労感、気道と声や影響、肺機能の低下を引き起こす事があります。 そのような場合は使用を中止してください。
また、私は非喫煙者電子タバコを勧めてはいません。不要なリスクを取る必要はありません。

しかし、一般の人が一般的な使い方をした場合、ニコチンを含まない場合で一般生活で負っている健康リスクと比較しても有害と主張するのは不可能のように思います。 特に紙タバコと比較した場合、タバコより害が大きいと主張するのは馬鹿げています
また、リキッドに香料を入れる場合は、その香料の分だけリスクになります。リスクを回避したい人は香料を入れないようにしてください。
一部で危険かのような報道がなされる事がありますが、科学的な誤りをしていることがほとんどで通常の使い方をしている限り影響のあるような害はありません。

この記事を書いた理由は、日本語でも英語でも電子タバコに関する科学的な記事が誤りばかりで全く信用出来なかったためです。控えめに言ってゴミの山です。
私が調べた事を書いておきますので、それを読めば私がタバコと比較するとvapeはほぼ無害であるという主張をしているのも納得できると思います。
なお、私はJTから資金提供を受けていません。

害が少ない派

エアロゾルの内容に関して

Peering through the mist: systematic review of what the chemistry of contaminants in electronic cigarettes tells us about health risks
2014年1月の論文です。どのような論文か少し紹介しますと、

電子タバコ(vapeのこと、iqosを含みません) は一般に、燃焼タバコ製品のより安全な代替品として認識されています。この論文では、エアロゾル電子タバコのリキッドの化学に関する利用可能なデータをレビューし、蒸気の暴露を労働安全基準と比較します。 非常に多様な品質の9,000以上の観察結果を抽出し、最も広く認められている職場暴露基準であるしきい値限界値(TLV)(注1)との比較を行います。 エアロゾルとリキッドの化学物質含有量と蒸気の挙動に関する「最悪のケース」の仮定の下で試算を行いました。
結果: 電子タバコの使用者が健康へのリスクに関連する汚染物質にさらされる可能性があるという証拠はありませんでした。 予想される暴露の大部分は、TLVの1%未満です。予測されるアクロレインとホルムアルデヒドへの暴露は、通常5%未満のTLVです。 汚染物質の混合物としてエアロゾルへの暴露を考慮しても、混合物のTLVの半分を超えることが妥当であるとは示されませんでした。 結論: 電子タバコに関連するリキッドとエアロゾルの化学についての現在の知識は、vapingがエアロゾルの汚染物質への吸入可能な暴露を引き起こし、職場の安全を確保するために使用される基準による健康上の懸念を正当化する証拠がないことを示しています。ただし、全体としてのベーピング中に生成されるエアロゾル(汚染物質と宣言された成分)は、健康への悪影響を合理的に達成可能な限り低く抑えるための手段の調査と併せて、曝露者の健康の監視を正当化する個人曝露を作り出します。周囲の人への暴露は、桁違いに少ない可能性が高いため、明らかな懸念はありません。

注1: たとえば、パン屋であることは、粉塵の一部である喘息の原因となる物質(最も一般的には小麦の抗原と真菌の酵素)にさらされる意図しない選択です。 したがって、職業に固有の「想定されるリスク」を推定せずに、仕事上のそのようなリスクから個人を保護しようとするために、適切な職業暴露限度が作成されます。

大事な箇所は、注意するのはプロピレングリコールグリセリンのみで後は労働安全基準の1~5%以下です。 ここまで安全基準を下回ると職場の空気の方がリスクが高くなってしまうからvapeの話ではなくなります。
これなら、イギリスが紙タバコより95%安全との発表のも納得できる。

また、長年懸念であったエアロゾルに関しても、2019年9月に人間で肺の炎症の試験を行った論文が発表されました。
試験機関は4週間で、ニコチンなしのエアロゾルだけのものに関してです。

少し紹介しますと、変化の絶対的な大きさは小さかった。つまりほぼ影響なし。 尿中のプロピレングリコール濃度は上がっているため吸収されて出ていく。

そういう訳で、エアロゾルに関しては初めての報告でこれからという感じではある。今後、大規模や長期の影響を研究していくと考えられるが、それは歓迎するべきこと。
ここからは私の予想ではあるが、大した問題は出てこないと予想している。根拠は以下に書いておく、

  • 電子タバコ自体はもう発売されて10年程度になるが、大した問題が出ていない。
  • UKでは禁煙医療のために使われているためかなりの数のユーザーがいるにも関わらず数年は問題が出ていない。
  • EUなどで大量の使用者がいるにも関わらず大した問題が起きていない。
  • 劇場などでエアロゾルを霧として長期間利用しているが劇場の従業員には大した健康被害が報告されていない。link

エアロゾル中に含まれる金属に関して

Are Metals Emitted from Electronic Cigarettes a Reason for Health Concern? A Risk-Assessment Analysis of Currently Available Literature

結果:13のvape製品の1日あたりの平均曝露量は、PDEの安全限界値の2.6から387倍、MRLの安全限界値の325倍、RELの安全限界値の665から77,514倍低かった。 13の製品のうち1つだけが、毎日1200のパフ(平均の2倍)の極端に使用した場合に、1つの金属(カドミウム)のPDEよりも10%高い暴露をもたらすことがわかりました。 製品間の排出量に大きな違いが見られました。
結論:現在利用可能なデータに基づいて、EC使用からの金属への全体的な暴露は、EC使用に切り替える喫煙者にとって重大な健康上の懸念とは予想されませんが、喫煙しない人にとっては不必要な暴露源です。
金属分析はより多くの製品に拡大されるべきであり、製品の品質と材料の適切な選択の改善により、曝露はさらに削減されます。

エアロゾル中の有害物質

Levels of selected carcinogens and toxicants in vapour from electronic cigarettes

結果: 電子タバコの蒸気には有毒物質が含まれていることがわかりました。有毒物質のレベルは、タバコの煙よりも9〜450倍低く、多くの場合、参照製品に含まれる微量と同等でした。
結論:私たちの調査結果は、たばこを電子たばこに置き換えることで、選択されたたばこ特有の毒性物質への曝露を大幅に減らすことができるという考えと一致しています。
禁煙したくない喫煙者の間での害軽減戦略としての電子タバコについては、さらなる研究が必要です。

有害派

さて、ここからは地獄の始まりです。
上記の通り、普通に考えたら害が少ないという結論になりますが別の事を考える人も居ます。実際にどのような主張なのか見てみましょう。

vapeの蒸気には重金属が含まれるから危険

この論文では、Vapeの蒸気(エアロゾル)やリキッドに重金属が含まれ健康基準を満たさないレベルであるという主張の論文なのだが、タバコ一本換算にすると ナノグラム程度の量であると書いてある。
一方、タバコではざっぱに言ってマイクログラム程度です。カドミウムの場合ですが、ここにデータがあります。
もう案の定このようなツッコミが入ってる。 要約すると以下のようになります。

FDA基準を超えるためには1日あたり100ml以上のリキッドを消費する必要がある。
(補足すると、四六時中吸ってる人でも20mL行くか行かないか程度。通常5ml程度?。)
また、環境基準をvapeのエアロゾルに使う事により強引に基準を超えさせた。
(環境基準は逃げ場ないし、24時間その空気を吸うため基準は厳しい。)
1日 17000回の呼吸の基準と電子タバコの600回の吸入(パフ)に同じ基準を用いることで自分自身と他のすべての人を混乱させます。

このPablo Olmedoさん、環境基準を理解していないのでは?vapeの使い方がわかっているの?10個同時に吸ったりしないものなんだけど。
あれ?3つの大学で教えてるの?
これで査読通る学者コミュニティやば… これもう科学じゃない… USの公衆衛生やば…

これで健康基準を満たさないと言われても、傍から見てると問題ないレベルにしか見えない。
これがメディアに記載された場合、どうなるか?

こちらが英語での記事。

「vaping」が喫煙に代わる安全な手段であると考える場合、新しい研究では、安全でないレベルの有毒金属を誤って吸入している可能性があることが示唆されています。 link

こちらは日本語での記事。

電子タバコの蒸気は相当量のレベルの鉛・ニッケル・クロムを含有、金属コイルの加熱が原因と研究者が指摘 link

なんだこれ?もうちょっと調べて欲しい。

通常、このような研究をやった人は信用できない人と認識されるはずで、変な人扱いになるはずなんだけど…
また、この研究を無批判に引用する人は嘘を見抜く能力のない人と認識されるはずで恥をかくはずなんだけど…
この分野の学者コミュニティって自浄作用ないのでは?

少なくともvapeの煙に重金属が含まれるといった研究はほとんどジャンク。事実ではあるだろうが検出されましたレベルで実際の健康被害の大小の参考にならない。
また、どれだけエクストリームな使い方を思いつくか?といった競技をやってるとしか思えない。
科学的に意味がないとは言わないが、少なくともvapeの害に関して知見が深まる事はないだろう。誰もその使い方をしないから。

Metal and Silicate Particles Including Nanoparticles Are Present in Electronic Cigarette Cartomizer Fluid and Aerosol

エアロゾルには、スズ、銀、鉄、ニッケル、アルミニウム、ケイ酸塩、およびスズのナノ粒子(<100 nm)で構成される1 µmを超える粒子が含まれていました。 クロムとニッケル。vapeエアロゾルの11元素のうち9元素の濃度は、従来のたばこの煙の対応する濃度以上でした。 vapeエアロゾルで特定された要素の多くは、呼吸困難と病気を引き起こすことが知られています。

Monique Williamsさん、1つ目。で、健康被害とかあったんでしょうか?濃度はどうでしょう? なお、コメント欄には

表1に、検出された曝露による警告的な健康影響の範囲を示していますが。 たとえば、電子タバコ10パフから吸入した銅0.2マイクログラムは、「呼吸器の刺激、咳、くしゃみ、胸痛、鼻水、ブドウ園の噴霧器の肺」を引き起こすとされています。 これを調べると、ACGIHにより、労働者が健康に影響を与えずに呼吸可能な銅のエアロゾル0.4 mg / m3を含む環境に慢性的に曝露できることがわかります。 10 m3の就業日吸入を想定し、5週間の就業日を補正すると、予想される1日の銅吸入線量は2860マイクログラムになります。 すなわち、この電子タバコから放出される銅の量の10,000倍以上を吸入しても悪影響はありません。

普通に読む気なくすわ。その違いがわからない人が書いた論文とか怖すぎる。違いを検証する時間がないためパス。

Monique Williamsさん、2つ目。 Effects of Model, Method of Collection, and Topography on Chemical Elements and Metals in the Aerosol of Tank-Style Electronic Cigarettes 2019年の論文。

一部の元素の濃度は、健康上の懸念となるほど十分に高かった。 2018年には、クロム、鉛、ニッケルの濃度がECエアロゾル中に十分に高いため、健康上のリスクがあることも報告されています。(ここでOlmendさんの論文を引用)

あれ引用するのかよ。

たとえば、Cr(III) は人間の食事に不可欠な栄養素であり、細胞に容易に吸収されませんが、Cr(VI)への還元は酸化ストレス、DNA付加物、DNAタンパク質架橋、および細胞の脂質二重層の損傷を引き起こす可能性があります。 さらに、Cr(VI)への暴露は呼吸器刺激物であり、鼻、副鼻腔、肺のがんを引き起こす可能性があります。

Cr(III)からCr(VI)に還元?酸化ではなく?また、Cr(III)がCr(VI)に勝手になることはありません。
また、なったとしてもCr(VI)はかなり強力な酸化剤なのですぐ反応してCr(III)に戻ります。グリセリンなど有機物と反応してしまいます。 だからエアロゾル中にCr(VI)が存在したとしてもすぐに反応して戻るから考える必要がないです。
また、そうなったとしても人体にCr(III)があるならしょうがなくないか?健康リスクが増えるといえるのか? こんなファンタジーな世界観だと何書いても無意味やろ、幽霊の健康被害を心配するようなもんやん。

エアロゾル中でホルムアルデヒドが従来のタバコよりも多くのホルムアルデヒドが見つかりました。

Hidden Formaldehyde in E-Cigarette Aerosols

ホルムアルデヒドは国際がん研究機関のグループ1発がん物質です。 1日あたり3 mlの速度で蒸気を吸っている電子タバコのユーザーは、ホルムアルデヒド放出剤中の1日あたり14.4±3.3 mgのホルムアルデヒドを吸入します。 紙巻きたばこ1本あたり約150μg、20本のタバコのパックあたり3 mg。

電子タバコの方が紙巻きたばこよりも有害だったという主張なのだが、後に再現性がないことがわかります。
通常では考えられないほどのドライヒットを行いホルムアルデヒドを発生させたようです。刺激臭があるので吸えたものではないでしょう。 なお、通常使用の場合、ホルムアルデヒドの濃度は紙タバコより99.8%ほど低いです。
また、一般人でも検証して電子タバコホルムアルデヒドはタバコよりも非常に低い事を確認しています。link
なお、著者らは350万ドルの研究資金を得ました。link
あのさぁ…

まとめ

当初はvapeの有害性を検証するはずだったが、途中から有害派閥の論文を検証する、みたいになったので終わります。
本当に有害派閥の人は一般人が参考にできる論文を書かない、書けない、検証しないなど問題が多すぎる。
駄目な人が居るだけなら救いはあったがコミュニティ自体が終わってる。
普通のコミュニティなら他の研究者からツッコミがはいってきちんと自浄作用が働く。 その様子は見受けられない。全体的にやばい。

一応、私が信頼できると思った人だけ紹介します。
害が少ない派ですが、普通の科学者がくらいしか見つからなかったので書いておきます。

vape, 電子タバコ をめぐるアメリカの状況をまとめておく

先に書いて置きます。

Q: 事故とか起こったけど死者とか出たけど、vapeを吸い続けた方が良いの?紙タバコやiqosに戻ったほうが良いの?
A: vape吸い続けた方が良い。原因はvapeではなく闇市場の違法な製品の成分だったため。 アメリカ癌協会はvapeと紙タバコのデュアル使用は辞めてvapeだけにしたほうが良いって書いてある。

vape の説明

vapeとは 電子タバコ の一種でアメリカやEUでは結構吸っている人がいる。
電池、コイル、リキッド(エアロゾル発生用の液体)で構成されており、コイルによってリキッドが熱されエアロゾル(vapor, ベイパーなどと呼ばれる)が発生し、それを吸入する。 リキッドは、ポリエチレングリコール、植物性のグリセリンなどが主成分で、予め香料やニコチンを添加しておけばエアロゾルに香りやニコチンを付加できる。 そのエアロゾルを吸う機械である。
なお、日本と海外では電子タバコの指しているものが違い、日本で電子タバコといえばニコチンを含まないエアロゾルを吸入する製品を指すが、海外ではニコチンを含む電子タバコのことを指している事に注意して欲しい。 また、iqosなど加熱式タバコは日本では電子タバコとして記載される事もあるが、海外では一般的ではなく電子タバコに含まない。 この違いは、日本ではニコチンを含むリキッドが販売が禁止されているがiqosなどは販売が可能であり、海外ではニコチン入りリキッドは販売可能であったがiqosなどは販売が禁止されていたたmである。

ここでは、"vape"を海外でのニコチン入りリキッドの蒸気を吸う電子タバコ、日本でのニコチンなしの電子タバコを"ニコチンなし蒸気式電子タバコ"、 iqosやプルームテックなどを"加熱式電子タバコ"、といって区別することにします。

アメリカやEUでは比較的一般的でタバコの代わりに吸っていたりします。 ここ10年間で徐々に市場を徐々に広げて行きましたが、この1年で状況がニュースになること多数で法律などが目まぐるしく変わる状況となりました。 そこで、この1年位でどのような問題が起こったのか?ということをまとめて置こうと思い書いております。

未成年の状況

いくつかの状況がありますが、まずは未成年への状況を説明します。

  • 2016年、vapeを未成年に販売することが違法に。link
  • 2018年、未成年はvapeなど電子タバコの機器をebayなどで簡単に手に入れられた模様。ニコチン入りの液体も年齢確認(ID)なしで買えていた模様。
  • FDA (米国食品医薬品局) は事態を問題視し、抜き打ち検査を行い買えた店の店主などを訴えるなど行う。
  • FDAはvapeのシェア70%のjuulという製品を特に問題視していた。
  • juulの発売元 juul labs は未成年相手にwebで広告を打つなど、マーケティングに問題があった。また、学校に行き先生が席を外したときのみ健康に害はない、などと宣伝していた。
  • 2018年12月にタバコ会社フィリップモリスのオーナー企業アルトリア・グループはjuulの株式の35%を取得。
  • 2018年、高校生の喫煙率が11.7%(2017)から20.8%(2018)に。link ちなみに紙タバコは8.1%に。
  • 2019年8月 vapeが原因の初めてと思われる死者が出る。この患者は大人。link1 link2
  • 2019年9月 Simah Hermanさんがvapeが原因で死にかける。link
  • なお、事故当時Hermanさんは(20歳なのかな?未成年。タバコの購入は21歳だと思われるため)でニコチン入りカートリッジの入手先は不明。なお米国ではblack marketでカートリッジを容易に買えるが本物か偽物かは容易にはわからない模様。link
  • カートリッジとは彼女が使っていたjuul(製品名)というvapeの液体が入っているカートリッジ。液体がなくなればカートリッジを交換することで喫煙することが可能。
  • 同様の事故がアメリカで多数報告され始める。link
  • 政府や学校関係者は紙タバコと違って小さいく決まった形もないため発見しにくく、匂いもない、vapeの管理に手を焼いていた。
  • また、vapeを使用すると紙タバコに移行する、vapeはタバコへのゲートウェイになっているという主張の研究が発表される。link
  • 2019年9月 ドナルド・トランプ大統領はvapeのフレーバーを禁止にすると発表。link
  • フレーバーが若者を引きつけるといった考えから。

大人での状況

死亡事故

  • 2019年8月 vapeが原因の初めてと思われる死者が出る。link1 link2
  • 同様の事故がアメリカで多数報告され始める。link
  • 最初の報道のされ方がvapeで初の死者、などと報道されたためvapeで死んだというイメージが定着した。後に原因は別にあったことが判明する。
  • 2019年9月 CDC (疾病管理予防センター)は一連の事故がTHC入のリキッドにあると発表。 THCとは、テトラヒドロカンナビノールのことで大麻成分の一つでハイにする効果がある。
  • THC入のリキッドは販売店が非常に少なかったが、闇市場では偽物が大量に売られていたらしい。
  • 闇市場での供給元はより儲けを出すために増粘剤、ビタミンEアセテートTHCを希釈し販売していた。以前は大麻抽出物が80%だったが9月の頃は20% (80%は増粘剤)と盛大に希釈していた。
  • ビタミンEアセテートはスキンクリームなどに利用され、油の性質に近い化合物であるようで肺で代謝されなかったようだ。
  • なおTHCエアロゾルがこのような健康被害を引き起こさないことは知られていたため他に原因があるのではないかといった予想は事件当初からあったようだ。
  • また、THC入のリキッド使用者は患者の77%だったようだ。link
  • 患者はTHC入のリキッドを使用していた事を認めない事があったりもしたが、ニコチンの製品のみを使用していたと主張していた患者がTHCリキッドを使用していた事が発覚した。

フレーバーバン (味付きのリキッドを販売停止)

  • 2019年9月 ドナルド・トランプ大統領はvapeのフレーバーを禁止にすると発表。link
  • 若者が電子タバコに近づけないようにするため。
  • タバコ風味は何故か許可された。禁煙商品であるかららしい。
  • vapeショップの中には従業員を解雇したり在庫を投げ売りしていたところがあったようだ。
  • いくつかの州は死亡事故の原因がvapeではなかったため販売停止を延期にしたり中止したようだ。
  • またフレーバーを禁止にすると大人のvapeユーザーはタバコに戻るのと、法律に従う気のない闇市場の利益になってしまうといった理由かららしい。