vapeはどの程度有害か?

vapeはどの程度有害か?

ニコチンを含まない場合、少ないが影響はあるが日常生活と比較すると無害
ニコチンを含む場合、妊婦さんか授乳中のお母さんは使用しないでください。
ニコチンには催奇性があります。子供の脳の発達に有害です。母乳を通じてニコチンが子供に害を与えます。
細かい事を言うと、プロピレングリコールや植物性グリセリンにアレルギーを持つ人がたまに居たり、肺に疾患のある人が使用すると症状の悪化をします。 そのような場合は使用を中止してください。
また、目や気道などの粘膜の刺激、頭痛、めまい、眠気、疲労感、気道と声や影響、肺機能の低下を引き起こす事があります。 そのような場合は使用を中止してください。
また、私は非喫煙者電子タバコを勧めてはいません。不要なリスクを取る必要はありません。

しかし、一般の人が一般的な使い方をした場合、ニコチンを含まない場合で一般生活で負っている健康リスクと比較しても有害と主張するのは不可能のように思います。 特に紙タバコと比較した場合、タバコより害が大きいと主張するのは馬鹿げています
また、リキッドに香料を入れる場合は、その香料の分だけリスクになります。リスクを回避したい人は香料を入れないようにしてください。
一部で危険かのような報道がなされる事がありますが、科学的な誤りをしていることがほとんどで通常の使い方をしている限り影響のあるような害はありません。

この記事を書いた理由は、日本語でも英語でも電子タバコに関する科学的な記事が誤りばかりで全く信用出来なかったためです。控えめに言ってゴミの山です。
私が調べた事を書いておきますので、それを読めば私がタバコと比較するとvapeはほぼ無害であるという主張をしているのも納得できると思います。
なお、私はJTから資金提供を受けていません。

害が少ない派

エアロゾルの内容に関して

Peering through the mist: systematic review of what the chemistry of contaminants in electronic cigarettes tells us about health risks
2014年1月の論文です。どのような論文か少し紹介しますと、

電子タバコ(vapeのこと、iqosを含みません) は一般に、燃焼タバコ製品のより安全な代替品として認識されています。この論文では、エアロゾル電子タバコのリキッドの化学に関する利用可能なデータをレビューし、蒸気の暴露を労働安全基準と比較します。 非常に多様な品質の9,000以上の観察結果を抽出し、最も広く認められている職場暴露基準であるしきい値限界値(TLV)(注1)との比較を行います。 エアロゾルとリキッドの化学物質含有量と蒸気の挙動に関する「最悪のケース」の仮定の下で試算を行いました。
結果: 電子タバコの使用者が健康へのリスクに関連する汚染物質にさらされる可能性があるという証拠はありませんでした。 予想される暴露の大部分は、TLVの1%未満です。予測されるアクロレインとホルムアルデヒドへの暴露は、通常5%未満のTLVです。 汚染物質の混合物としてエアロゾルへの暴露を考慮しても、混合物のTLVの半分を超えることが妥当であるとは示されませんでした。 結論: 電子タバコに関連するリキッドとエアロゾルの化学についての現在の知識は、vapingがエアロゾルの汚染物質への吸入可能な暴露を引き起こし、職場の安全を確保するために使用される基準による健康上の懸念を正当化する証拠がないことを示しています。ただし、全体としてのベーピング中に生成されるエアロゾル(汚染物質と宣言された成分)は、健康への悪影響を合理的に達成可能な限り低く抑えるための手段の調査と併せて、曝露者の健康の監視を正当化する個人曝露を作り出します。周囲の人への暴露は、桁違いに少ない可能性が高いため、明らかな懸念はありません。

注1: たとえば、パン屋であることは、粉塵の一部である喘息の原因となる物質(最も一般的には小麦の抗原と真菌の酵素)にさらされる意図しない選択です。 したがって、職業に固有の「想定されるリスク」を推定せずに、仕事上のそのようなリスクから個人を保護しようとするために、適切な職業暴露限度が作成されます。

大事な箇所は、注意するのはプロピレングリコールグリセリンのみで後は労働安全基準の1~5%以下です。 ここまで安全基準を下回ると職場の空気の方がリスクが高くなってしまうからvapeの話ではなくなります。
これなら、イギリスが紙タバコより95%安全との発表のも納得できる。

また、長年懸念であったエアロゾルに関しても、2019年9月に人間で肺の炎症の試験を行った論文が発表されました。
試験機関は4週間で、ニコチンなしのエアロゾルだけのものに関してです。

少し紹介しますと、変化の絶対的な大きさは小さかった。つまりほぼ影響なし。 尿中のプロピレングリコール濃度は上がっているため吸収されて出ていく。

そういう訳で、エアロゾルに関しては初めての報告でこれからという感じではある。今後、大規模や長期の影響を研究していくと考えられるが、それは歓迎するべきこと。
ここからは私の予想ではあるが、大した問題は出てこないと予想している。根拠は以下に書いておく、

  • 電子タバコ自体はもう発売されて10年程度になるが、大した問題が出ていない。
  • UKでは禁煙医療のために使われているためかなりの数のユーザーがいるにも関わらず数年は問題が出ていない。
  • EUなどで大量の使用者がいるにも関わらず大した問題が起きていない。
  • 劇場などでエアロゾルを霧として長期間利用しているが劇場の従業員には大した健康被害が報告されていない。link

エアロゾル中に含まれる金属に関して

Are Metals Emitted from Electronic Cigarettes a Reason for Health Concern? A Risk-Assessment Analysis of Currently Available Literature

結果:13のvape製品の1日あたりの平均曝露量は、PDEの安全限界値の2.6から387倍、MRLの安全限界値の325倍、RELの安全限界値の665から77,514倍低かった。 13の製品のうち1つだけが、毎日1200のパフ(平均の2倍)の極端に使用した場合に、1つの金属(カドミウム)のPDEよりも10%高い暴露をもたらすことがわかりました。 製品間の排出量に大きな違いが見られました。
結論:現在利用可能なデータに基づいて、EC使用からの金属への全体的な暴露は、EC使用に切り替える喫煙者にとって重大な健康上の懸念とは予想されませんが、喫煙しない人にとっては不必要な暴露源です。
金属分析はより多くの製品に拡大されるべきであり、製品の品質と材料の適切な選択の改善により、曝露はさらに削減されます。

エアロゾル中の有害物質

Levels of selected carcinogens and toxicants in vapour from electronic cigarettes

結果: 電子タバコの蒸気には有毒物質が含まれていることがわかりました。有毒物質のレベルは、タバコの煙よりも9〜450倍低く、多くの場合、参照製品に含まれる微量と同等でした。
結論:私たちの調査結果は、たばこを電子たばこに置き換えることで、選択されたたばこ特有の毒性物質への曝露を大幅に減らすことができるという考えと一致しています。
禁煙したくない喫煙者の間での害軽減戦略としての電子タバコについては、さらなる研究が必要です。

有害派

さて、ここからは地獄の始まりです。
上記の通り、普通に考えたら害が少ないという結論になりますが別の事を考える人も居ます。実際にどのような主張なのか見てみましょう。

vapeの蒸気には重金属が含まれるから危険

この論文では、Vapeの蒸気(エアロゾル)やリキッドに重金属が含まれ健康基準を満たさないレベルであるという主張の論文なのだが、タバコ一本換算にすると ナノグラム程度の量であると書いてある。
一方、タバコではざっぱに言ってマイクログラム程度です。カドミウムの場合ですが、ここにデータがあります。
もう案の定このようなツッコミが入ってる。 要約すると以下のようになります。

FDA基準を超えるためには1日あたり100ml以上のリキッドを消費する必要がある。
(補足すると、四六時中吸ってる人でも20mL行くか行かないか程度。通常5ml程度?。)
また、環境基準をvapeのエアロゾルに使う事により強引に基準を超えさせた。
(環境基準は逃げ場ないし、24時間その空気を吸うため基準は厳しい。)
1日 17000回の呼吸の基準と電子タバコの600回の吸入(パフ)に同じ基準を用いることで自分自身と他のすべての人を混乱させます。

このPablo Olmedoさん、環境基準を理解していないのでは?vapeの使い方がわかっているの?10個同時に吸ったりしないものなんだけど。
あれ?3つの大学で教えてるの?
これで査読通る学者コミュニティやば… これもう科学じゃない… USの公衆衛生やば…

これで健康基準を満たさないと言われても、傍から見てると問題ないレベルにしか見えない。
これがメディアに記載された場合、どうなるか?

こちらが英語での記事。

「vaping」が喫煙に代わる安全な手段であると考える場合、新しい研究では、安全でないレベルの有毒金属を誤って吸入している可能性があることが示唆されています。 link

こちらは日本語での記事。

電子タバコの蒸気は相当量のレベルの鉛・ニッケル・クロムを含有、金属コイルの加熱が原因と研究者が指摘 link

なんだこれ?もうちょっと調べて欲しい。

通常、このような研究をやった人は信用できない人と認識されるはずで、変な人扱いになるはずなんだけど…
また、この研究を無批判に引用する人は嘘を見抜く能力のない人と認識されるはずで恥をかくはずなんだけど…
この分野の学者コミュニティって自浄作用ないのでは?

少なくともvapeの煙に重金属が含まれるといった研究はほとんどジャンク。事実ではあるだろうが検出されましたレベルで実際の健康被害の大小の参考にならない。
また、どれだけエクストリームな使い方を思いつくか?といった競技をやってるとしか思えない。
科学的に意味がないとは言わないが、少なくともvapeの害に関して知見が深まる事はないだろう。誰もその使い方をしないから。

Metal and Silicate Particles Including Nanoparticles Are Present in Electronic Cigarette Cartomizer Fluid and Aerosol

エアロゾルには、スズ、銀、鉄、ニッケル、アルミニウム、ケイ酸塩、およびスズのナノ粒子(<100 nm)で構成される1 µmを超える粒子が含まれていました。 クロムとニッケル。vapeエアロゾルの11元素のうち9元素の濃度は、従来のたばこの煙の対応する濃度以上でした。 vapeエアロゾルで特定された要素の多くは、呼吸困難と病気を引き起こすことが知られています。

Monique Williamsさん、1つ目。で、健康被害とかあったんでしょうか?濃度はどうでしょう? なお、コメント欄には

表1に、検出された曝露による警告的な健康影響の範囲を示していますが。 たとえば、電子タバコ10パフから吸入した銅0.2マイクログラムは、「呼吸器の刺激、咳、くしゃみ、胸痛、鼻水、ブドウ園の噴霧器の肺」を引き起こすとされています。 これを調べると、ACGIHにより、労働者が健康に影響を与えずに呼吸可能な銅のエアロゾル0.4 mg / m3を含む環境に慢性的に曝露できることがわかります。 10 m3の就業日吸入を想定し、5週間の就業日を補正すると、予想される1日の銅吸入線量は2860マイクログラムになります。 すなわち、この電子タバコから放出される銅の量の10,000倍以上を吸入しても悪影響はありません。

普通に読む気なくすわ。その違いがわからない人が書いた論文とか怖すぎる。違いを検証する時間がないためパス。

Monique Williamsさん、2つ目。 Effects of Model, Method of Collection, and Topography on Chemical Elements and Metals in the Aerosol of Tank-Style Electronic Cigarettes 2019年の論文。

一部の元素の濃度は、健康上の懸念となるほど十分に高かった。 2018年には、クロム、鉛、ニッケルの濃度がECエアロゾル中に十分に高いため、健康上のリスクがあることも報告されています。(ここでOlmendさんの論文を引用)

あれ引用するのかよ。

たとえば、Cr(III) は人間の食事に不可欠な栄養素であり、細胞に容易に吸収されませんが、Cr(VI)への還元は酸化ストレス、DNA付加物、DNAタンパク質架橋、および細胞の脂質二重層の損傷を引き起こす可能性があります。 さらに、Cr(VI)への暴露は呼吸器刺激物であり、鼻、副鼻腔、肺のがんを引き起こす可能性があります。

Cr(III)からCr(VI)に還元?酸化ではなく?また、Cr(III)がCr(VI)に勝手になることはありません。
また、なったとしてもCr(VI)はかなり強力な酸化剤なのですぐ反応してCr(III)に戻ります。グリセリンなど有機物と反応してしまいます。 だからエアロゾル中にCr(VI)が存在したとしてもすぐに反応して戻るから考える必要がないです。
また、そうなったとしても人体にCr(III)があるならしょうがなくないか?健康リスクが増えるといえるのか? こんなファンタジーな世界観だと何書いても無意味やろ、幽霊の健康被害を心配するようなもんやん。

エアロゾル中でホルムアルデヒドが従来のタバコよりも多くのホルムアルデヒドが見つかりました。

Hidden Formaldehyde in E-Cigarette Aerosols

ホルムアルデヒドは国際がん研究機関のグループ1発がん物質です。 1日あたり3 mlの速度で蒸気を吸っている電子タバコのユーザーは、ホルムアルデヒド放出剤中の1日あたり14.4±3.3 mgのホルムアルデヒドを吸入します。 紙巻きたばこ1本あたり約150μg、20本のタバコのパックあたり3 mg。

電子タバコの方が紙巻きたばこよりも有害だったという主張なのだが、後に再現性がないことがわかります。
通常では考えられないほどのドライヒットを行いホルムアルデヒドを発生させたようです。刺激臭があるので吸えたものではないでしょう。 なお、通常使用の場合、ホルムアルデヒドの濃度は紙タバコより99.8%ほど低いです。
また、一般人でも検証して電子タバコホルムアルデヒドはタバコよりも非常に低い事を確認しています。link
なお、著者らは350万ドルの研究資金を得ました。link
あのさぁ…

まとめ

当初はvapeの有害性を検証するはずだったが、途中から有害派閥の論文を検証する、みたいになったので終わります。
本当に有害派閥の人は一般人が参考にできる論文を書かない、書けない、検証しないなど問題が多すぎる。
駄目な人が居るだけなら救いはあったがコミュニティ自体が終わってる。
普通のコミュニティなら他の研究者からツッコミがはいってきちんと自浄作用が働く。 その様子は見受けられない。全体的にやばい。

一応、私が信頼できると思った人だけ紹介します。
害が少ない派ですが、普通の科学者がくらいしか見つからなかったので書いておきます。