メディアでの"発がん性物質"という用語について

発がん性に関しては、メディアなどでよく聞く言葉だと思うが科学的な用語としての発がん性と一般人の考える発がん性は違う。 そもそも、大多数の化学物質は発がん性があり、なおかつ我々の人体には発がん性物質が存在している。 その中で、特にメディアの言う”発がん性物質”などの用語だけでむやみに怖がったりする必要はない。

そのような思考回路に陥ると真面目に考えると日常生活に支障をきたす。

また、vapeやiqosなど電子タバコが”IARCが認めた発がん性物質”などと報道されているのを見て、どれほどのリスクがあるのかを知りたかった。 結論としては、”発がん性物質”のみではリスク計算ができない。

メディアで一番引用されている国際がん研究機関 (IARC)の発がん性物質一覧を見てみよう。 この組織は発がん性の分類を行いリストを作っているのですが、このリストはしばしば人々を困惑させます。

グループ1 人に対する発がん性がある。という箇所を見てみましょう。 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/kikaku29_1_siryou2_bessi1.pdf

アルコール飲料、タバコ、屋外の空気汚染、加工肉、太陽光、紫外線日焼け機などが並んでいます。 加工肉はタバコと同じ分類であるにも関わらず、全く規制されていません。 特に太陽光がグループ1というのなら体育の授業は危険だからなくした方が良いし、 太陽光を浴びる職種の人は危険なのでは?警備員とか。

http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/meat.html

ヒトの健康に影響を及ぼす可能性のあるものをハザードといいます。・・・(略)・・・リスクは、ハザードの毒性影響の大きさにヒトへのばく露量(食べる量)を考慮して評価します。 この分類は、発がん性を示す根拠があるかどうかを重視しており、したがって、ハザードの毒性影響の強さや暴露量が及ぼす影響(定量的な評価)はあまり考慮されておりません。 今回の評価では、これをもって、すなわち「食肉や加工肉はリスクが高い」と捉えることは適切ではないと考えます。 食品の安全性に関する様々な情報が発信されています。そして、健康な食生活を送っていくためには、それらの情報の正確さや食生活への影響の大きさを見分けるのは難しいことです。それらに振り回されず、多くの種類の食品をバランスの良く食べることが大切です。

より一層困惑します。発がん性はあるが食べて大丈夫なの?じゃあ何のためにリストがあるの? このリストは「ガンになる証拠の強さだから毒性の強さとは関係ない」と言ってるのですが、読む人はそんなことを考えません。 少し考える人は、「おk、身の回りの大半のものは発がん性物質だから量が大事なんやな。このリスト意味なやん」みたいになります。

https://www.sankei.com/premium/news/151115/prm1511150022-n1.html

この記事によると根拠が欧米での聞き取り調査です。 それはまぁ良いのですが、このリストの政策に与える影響が大きすぎてバランスが取れないですね。 欧米での聞き取り調査で加工肉に規制が入る可能性もあった。かなり危ないところだった。

ちょっとまって、そもそもIARCのリストは証拠の強さだったはずでは? 証拠が一番強い調査で聞き取り調査?800本の論文?じゃあ加工肉だめやん。 早く規制しないと。規制しない?意味がわからない。

グループ1にはベンゾピレンが入っています。 それ自体は良いのですが、ウィスキー、コーヒー、茶やオリーブオイルやココナッツオイルに含まれている。 焼いたステーキ、ハンバーガーに含まれているが規制されない。

グループ1だからどうだとか言ってる人おるか?おったわ。 安全衛生情報センター がんサバイバー・クラブ 近鉄ケーブルネットワーク 日本産業衛生学会 くまもと禁煙推進フォーラム 国立保健医療科学院

勘違いしてほしくないのは、私は発がん性がないとは言っていません。 リスクと発がん性はイコールではないため、特に一般人向けの文書では適切ではないという主張です。 量を計算していないため、危険性と発がん性が結びつかないのです。 そのため、一般的な話をしているのか、特殊ケースの話なのかわからないからです。 毒とは量です。どんな毒も濃度が低いかぎり問題にはなりません。 量の話をして欲しいのです。
リストをそのまま受け入れるのなら、ホルムアルデヒド(全生物の体内に存在)、加工肉、アルコール飲料、太陽光も同様に禁止すべきです。 利用者がタバコよりも圧倒的に多いためです。

ホルムアルデヒドに関しては ここ

グループ2B 人に対して発がん性がある恐れ 無線周波電磁界が入っとる。うーん…

結論

身の回りのほとんどの物質には発がん性がある。IARCのリストは量を考慮していないため目一杯の量を与えてテストする。 リスクが計算できないにも関わらず、危険である、という主張を行っている国の機関や学会などが大量に存在する。
この人達は科学的な考えを行わないため近づくと危険。 効果のない事や、一見良さそうだが実は害になるような事をやろうとする。 「これまでにそれで何人死んだのですか?」「さぁ?知りません。でもとにかく危険なんです。危険だから規制しないと駄目なんです。」みたいな会話になる。
案の定、菜食主義者の人はこの結果を見て「肉食はガンになるから健康上のリスクある。肉食をやめろ」みたいな主張している。
そのような極端な人は稀だろうが、私から見ると上の人たちは同じ穴の狢です。